札幌 BAR 81

札幌 BAR 81

ヴィンテージの響きを肴に今宵も酔いしれる

札幌-バー81-ジャズ喫茶案内©jazzcity

カウンターだけの小さな空間だが、オーディオに多少の知識のある客なら、入って左側の棚を見ておおっと目を開くにちがいない。レコードプレイヤーは50年代の名機ガラード301、アンプは60年代初頭のマッキントッシュMC-225とC-11。そしてスピーカーはアルテックの、1952年にのみ製造された604Cのユニット。

わずか8席の店にこれだけのヴィンテージオーディオを揃えているのは全国中を探しても10軒あるかどうか。

マスターの平井剛さんは札幌生まれの札幌育ち。大学進学のときに札幌を出て、大阪の機械メーカーで技術者として図面を引く仕事をしていたが、ジャズの店をやりたいという気持ちはそのころから抱いていた。

「サラリーマンを10年ほどやりました。この店には盆暮れのときに札幌に帰るたびに寄っていてたんですが、先代マスターが閉店を考えているときに、私からやらせてもらえないかと声をかけたんです」

「バー81」の創業は1998年。店名の由来は先代マスターが初めて札幌にきた年にちなんだものだという。それをほとんど居抜きの状態で平井さんが継いだのは2005年。

平井さんと先代マスターとは「4Verse」というジャズバーですでに顔なじみだった。平井さんは大学時代からこの「4Verse」に通いはじめ、先代マスターは、この「4Verse」でアルバイトをしていて、のちにこの店の2代目マスターになった人だった。

「ジャズを聴きはじめたきっかけは、資生堂のメンズ化粧品『ブラバス』だったと思います。渡辺貞夫さんがCMキャラクターで、『カリフォルニア・シャワー』が使われていました。1978年。初めて行ったジャズ喫茶は『ジャマイカ』で、それから『act:(アクト)』や『ボッサ』『ビート』など、札幌の数軒をぐるぐる回っていました。『4Verse』は、天井からカモメのオブジェがぶら下がっていて、マスターに『なんですか?』ってきいたら『これだよ』って見せてくれたのがリターン・トゥ・フォエバーのファースト(アルバム)のジャケットでした。後日自分で聴いてみたら、ぶっとびました」

平井さんが「バー81」を引き継いでしばらくは先代マスターのオーディオをそのまま借りていたが、なじみのオーディオ業者と相談しながら、特注のスピーカーユニットをはじめ、ひとつずつ装置を集め、この4年前にようやくすべて自前のシステムを揃えることができた。店でかけるものは50年代から70年代までのモダンジャズがほとんど。

「音量はそれほど控えめでもないですよ」

カウンターの客正面に置かれたアルテックから飛び出すサウンドは、立ち上がりが鋭く、輪郭がはっきりとしていて、BGMとしてお茶を濁すようなものとはまったく異質のものだ。このリッチでコクのある音色に耳を傾けながらの酒はさぞや旨いにちがいない。

「幸いなことにオープンからずっと、お客さんが減ったことがないんです」

平井さんはさらっと、この店の実力を教えてくれた。(了)

札幌-バー81-ジャズ喫茶案内©jazzcity

札幌/ジャズバーBAR81カウンターBAR 81 バー・エイティーワン

  • 店主: 平井剛/創業:1998年
  • 住所: 北海道札幌市中央区南6条西3第二桂和ビル
  • アクセス:市営地下鉄南北線「すすきの」駅3番出口徒歩5分、市営地下鉄東豊線「豊水すすきの」駅7番出口徒歩2分
  • TEL 011-531-7280
  • 営業時間  18:00-03:00  日曜営業(無定休)
  • 席数 : 8席
  • 所有ディスク数:レコード約1,100枚、CD約500枚
  • ライブ:なし
  • メニュー:ビール600円〜 ウィスキー700円〜  チャージなし ボトルチャージ1,200円
  • HP:あり/SNS:なし

<AUDIO>

  • ターンテーブル:ガラード301/アーム:SME3009/カートリッジ:オルトフォン2MRED/CDプレイヤー:クリーク・エヴォルーション
  • プリアンプ:マッキントッシュC-11/パワーアンプ:マッキントッシュMC-225
  • スピーカー:アルテック604C

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「ジャズ喫茶案内」運営管理人。1959年生まれ。高知県出身。ジャズ喫茶初体験は18歳。ジャズライブ初体験は1978 年、 ジャズ喫茶「アルテック」(高知)でのビル・エヴァンス・トリオ。東京での出版社勤務を経て2013年、名古屋移住。jazzcity代表。

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